樂園芸術展

20世紀初頭に訪れた産業資本主義社会は、「もの」の等価交換の時代となり、人は封建的社会から解放され「自由」を獲得しました。しかし同時にそれは、人間と人間のつながりを「個と全体」から「個と個」の関係へと変化させ、同時に人間性の交流をも双方通行に限定される事となりました。その影響で人と人との関係が、モノとモノとの関係として現れるようになり、それは自然へも影響を及ぼし、環境破壊までへも至るようになり、自由社会は暮らしづらい世の中へと進んでいきました。


しかし、時代はいつの間にか見えないところで変化します。コロナを迎え、情報操作の力は徐々に弱体化し、人々は、自分自身の感じる価値に対して自信を取り戻し始めています。また、インターネットが地球上の情報を網羅するようになった事で、それぞれの自身の住む場所が世界の中心だと感じられるようにもなってきました。


2024年コロナが明けて一年。人々は、新しい未来に、今までとは違った可能性を見出し始めています。
この度の芸術展では、「もの化」した人間性により作った住みづらくなった世界を、反対に「もの」側からのアプローチすることにより、人間性を高次元を回復をさせることで、新たな時代の反復を作り出します。

Spase A

この度の展示では、まず、この楽園展の京都大学名誉教授 鎌田東二先生の 『いのちの帰趨』を入り口に据えようと思います。
命が宇宙を巡って原点へと帰趨する様子を感じてもらい、 生命や宇宙のつながりを身体の中に落とし込んだ状態で会場へ入ってもらいます。
次に見てもらうのは、反楽園的な存在として悪魔や鬼の展示を見ていただきます。 ここで大野木先生のお面を、流木を組み上げて制作した生きた木に展示させていただきたいと思っています。

Spase B

そして、次に楽園を感じて頂けるように、土水火風に分類して作品を展示します。 順番は受け入れ易いように、水、火、風、土の順番にしようと思っています。 なぜ、この順番が受け入れ易いかと言えば、水は多くの人にとって心地よいものだからです。 そして、水の次に火が来ると土水火風に分類されていると察しがつくと思います。 次の風はすんなり理解していただけると思います。
そして最後は、人間が生まれた土です。 この順番でくると地球の一部である自分自身に落ち着けると思います。

Spase C

土水火風のあとは、現代のテクノロジーを使った作品がいいかと思っています。 NFT のようなデジタルアートのスペースが出来たらと思っています。 土水火風の展示を体験した後にデジタルアートを持ってくる事で、 落ち着いた意識で人間の未来を意識し、 テクノロジーと共に切り開く未来に対して複雑な感情になってもらいたいです。

Spase D

最後は、個人が自分を楽園へと誘ってくれる個人の宝物を並べたいと思っています。 これに関しては、特に長い解説が必要になってくると思います。 例えば、福岡先生が小学校の頃に作った昆虫の標本だったり、 中野信子さんが子供の頃から大事にしていたぬいぐるみのようなものがいいと思います。 その個人が宝物にしているものを見て、 自分の大事にしているものを思い出してもらって、 それがどれだけ価値のあるものなのかという事を再確認してもらい、 本当の価値について考えてもらうというスペースです。 鑑賞者がほんわかして、楽園のような気持ちになってもらえるのではないかと思います。

News & Information